アイドルそのものへ!

つねに今ここにいるアイドルそのものへと立ち戻って語ること。

【ライブレポ】神宿3周年ライブ『神が宿る場所〜HARAJUKU DREAM DAY1~』@ラフォーレ原宿

0. 神宿は原宿をジャックし、舁夫はラフォーレ原宿をジャックした!

 「アイドルオタクをしていなければ、決して行くことがなかった場所がある」と、熱心なアイドルファンは言う。アイドルを追って西東、時に地下のライブハウスに潜り、時に天空のステージへ登り、時に遠征し、時に泊まり……。それに比べればスケールは一段落ちるかもしれないが、私にとって、「ラフォーレ原宿」という場所は、こんな機会でもなければ来ることのないところだ。

 どこか和風なエントランスをくぐり、建物内に入ると、オシャレな空間が広がり、オシャレな人たちが歩いていた。そして、やや異色な人たちが、ぞろぞろと階段に並んでいる。何人かのTシャツの背中には、「舁夫」という文字が誇らしげに書かれている。神宿のファンを表す呼称だ。ライブ会場であるラフォーレミュージアムは6階なのに、すでに1階まで列ができている。神宿3周年ライブの列であった。私も列の最後尾に並んだ。

 すぐに整理券番号が呼ばれ、思ったほど待つことはなく、会場内に入ることができた。会場がひろびろとしているおかげか、そこまで窮屈ではない。開演前なのに、すでにスモークが焚かれている。真ん中の少し後ろあたりに陣取り、幕が上がるのを待った。

1. 「もっとリボンが欲しい」と羽島めいは言った

 定刻を少しだけ過ぎたころ、小山ひなによる前説が流れる。迷惑行為に関する注意に加え、会場がショッピングモールの6階にある関係上、今回のライブではジャンプも禁止だという内容。

 前説が終わり、いよいよライブが幕を開けた。最初は、一曲目にふさわしい、『はじまりの鐘を鳴らせ』。その後も『必殺!超神宿旋風』『全開!神宿ワールド』と順調に曲が続くが、なぜかそこから『限界突破フィロソフィ』を2回続けて披露する神宿。このまま「エンドレスエイト」の如く無限ループに陥ったらどうしようかと一抹の不安が胸をよぎるも、2回同じ曲を披露した後は、無事に次の曲へと移っていった。

 MCでは、3周年を記念して、原宿中を神宿がジャックしているという話題に。様々な店舗とのコラボや、JR原宿駅の神宿の巨大ポスターの話題は、神宿のファンの方はご存知だろう。メンバーたちもそれぞれポスターを見に行き、人が多すぎてポスターだけを撮るのが精いっぱいだった一ノ瀬みかを除く4人は、しっかりとポスターと一緒に写真を撮ったという。ツイッターなどにその写真を挙げたメンバーもいるものの、羽島みきはすっぴんのまま撮ってしまったため(「なんかポスターと顔が違った」とは本人の弁)、公開せず。その写真は、スマホのフォルダにこっそりと収められているとか。

 MCでは、今回のライブが初披露となる新衣装の話題も。リボンやフリフリがたくさんの、パステルカラーのチェック柄のかわいらしい衣装。関口なほが「はじめてのかわいい衣装」と口にし、「語弊があった」と慌てて言い直す。「こんなに<いかにもアイドル>な衣装ははじめて」とのこと。ボーイッシュなイメージの羽島めいは、衣装のチェック時に「ここにリボンをもう一個足してください」と言っていたことをばらされて慌てていた。

2. 一番新しい曲、そして一番最初の曲

 その後もライブは恙なく進んでいくが、突然、「3周年ということで……新曲を披露します!」と羽島めいが告げた。披露された新曲『LIFE is やっぱビューティフル』は、ヨナ抜き音階による、ハイテンポな和風ポップス。神宿というグループ名を考えると、ヨナ抜き音階楽曲はもっと早く登場していてもおかしくはなかったが、意外にもこの楽曲が初めてではないだろうか。私も一回聴いただけなので確信が持てないが、アウトロに、まねきケチャ『冗談じゃないね』へのオマージュフレーズが入っていた気がした。

 アップテンポな新曲に、観客のテンションも高まる。小山ひなが「お客さんがいっぱい入ると、リハーサルよりも暑い!」とぼやき、一ノ瀬みかに「すごい……肉汁が!」と容赦のない言葉を浴びせられる一幕もあったものの、ライブは次第に終盤に。

 そして、デビューと同時に発表された、神宿の自己紹介ソングである『KMYD』が流れた。「はじめましてで お目にかかります」と、小山が最初のフレーズを歌うのを聴いたとき、私は鳥肌を抑えることができなかった。3年前、右も左もわからないままステージに上がり、この曲を歌った彼女たちと、今ここで同じ曲を歌っている彼女たち。3年の間に彼女たちが経験したであろう物語が、この楽曲に投影され、私の耳に届いたように思われた。

3. 神宿がさっそうとランウェイを歩いた! ただし小山ひなはぺたぺたと歩いた!

 ライブが一旦ひと段落して、メンバーがステージ袖にはける。妙な間が空き、会場が微妙な空気になってきたところで、なんとかファッションショーがはじまった。そう、今回、神宿のメンバーたちは、それぞれのお気にいりのファッションブランドとコラボ。ラフォーレミュージアムのステージを使って、ライブ内でプチ・ファッションショーを行ったのだ。それぞれがお気に入りのブランドを選んだだけあって、一ノ瀬みか(Supreme)はいっそうの美少女に、小山ひな(NILE PERCH)はいっそうかわいらしく、羽島みき(NICE CLAUP)はいっそう美しく、関口なほ(Heather)はいっそうスタイルよく、羽島めい(SPINNS)はいっそうかっこよく――それぞれのメンバーのよさがひときわ際立っているように感じられた。赤いベレー帽に黒いワンピースをまとってランウェイに登場した小山ひなは「みんなヒールでさっそうと歩いていたけれど、私だけ靴がぺたんこだから、ぺたぺた歩いてた」と振り返った。今回コラボしたブランドの多くは、ラフォーレ原宿内にも出店しているとのこと。女舁夫の方は、訪れてみてはいかがだろうか。

 最後はファッションショーの衣装のまま、『Ultra Cheer』と『ビ・ビ・ビ♡』の2曲を披露して終演。最初(『はじまりの鐘を鳴らせ』)と最後(『ビ・ビ・ビ♡』)に、デビュー楽曲を持ってくる狙いすましたようなセットリストだった。舁夫たちの興奮は冷めやらず、ライブが終わった後も、会場モニターに映し出されるスタッフロールのBGMに合わせて熱唱する舁夫の声がいつまでも鳴り響いていた。

 神宿3周年ワンマンは明日24日(日)も同会場で行われる予定。また、ライブビューイングも予定されている。