アイドルそのものへ!

つねに今ここにいるアイドルそのものへと立ち戻って語ること。

『原宿発!神宿です。』全曲レビュー track 4. あの娘にばれるような・・・

 「KMYD」、「全開!神宿ワールド」と、<神宿にしか歌えない>曲が続いた後に、はじめて自己言及フレーズを含まない楽曲が登場する。バンド編成を基調としたJ-ROCK風のトラックとアクの少ない曲調を持つ、神宿入門にうってつけの一曲と言えるだろう。初めて神宿を聴く人にオススメを訊かれたら、私は迷わずこの曲を推す。

 ピアノにのせた小山ひなのソロ歌唱で本曲は幕を開ける。次に存在感を示すのは一ノ瀬みかだ。アニメソングにサザンロックのスパイスを効かせたかのような声質で粘っこく歌い上げる。癖が強く、好みがわかれるだろうが、サザンロック好きの私は好きな声だ。2'18付近では強めにケロらせた関口なほの歌唱が目立つ。

 この曲では、メンバーそれぞれの歌唱に違ったエフェクトをかけているように思う。小山のトラックには軽いリバーブがかけられている。息遣いが聴こえることから、ディエッサーなどの補正はかけていないと予想する。対照的に一ノ瀬のトラックにはリバーブをあまりかけておらず、代わりに、軽くピッチ補正がかけられていると思う。関口なほのトラックには、意図的にピッチ補正を強くかけており、その結果いわゆる「ケロケロ」系のアイドルボイスを創り出すことに成功している。

 あまり目立っていない羽島姉妹だが、1番(みき)とラスト(めい)でタイトルフレーズを担当していることに注目したい。アタマサビを含めても3回しかないタイトルフレーズ、曲中では全て羽島姉妹が歌っていることになる。この、一番重要な場面での「代打」を、羽島姉妹は難なくこなす。それぞれのパートに注目してみるとと、クラス内カースト最上位っぽいみきが「リア充気取ってる」と歌い、恋愛カースト最上位っぽいめいが「ホントに好きになってくれる人を待ってる」と震え声で歌う。実は曲中で一番<エモい>パートだと思う。