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『原宿発!神宿です。』全曲レビュー track 2. KMYD

 『原宿発!神宿です。』を聴くものの耳に一番最初に聴こえてくる言葉は、「はじめましてで お目にかかります」という詞。そう、冒頭に配置されたこの楽曲は、リスナーに向けた、神宿による自己紹介だ。

 小山ひなの「最初から完成された」歌唱の後に、やや緊張した面持ちで羽島めいが続く。ブリッジでは関口なほが登場。その後、5人のユニゾンでのサビに突入していく。

 神宿は5人ともが一聴して聴き分けられる魅力的な声質を持っており、全員が「歌える」アイドルグループだが、この時点では、制作サイドは、ひなとめいをメインに据え、飛び道具的になほを用いるという戦略を立てていた(と思う)。たしかに、それほどに、この曲でのひなの「こなれた」歌唱と、めいの「初々しい」歌唱は対照的であり、まるでビートルズにおけるジョンとポールのように、互いを引き立たせている。一方で、この時点では一ノ瀬みかと羽島みきの最年少/最年長コンビは、雌伏している。

 ともかく、神宿の夜明けを飾るにふさわしい爽やかさと、一気にリスナーを神宿ワールドに引き込む力強さを兼ね備えた楽曲である。